体力・栄養・免疫学雑誌 第16巻 第2号 2006年 目次

[巻頭言]

薬事法改正の背景とその影響

小島尚 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・64


[ORIGINIAL ARTICLE]

A quantitative ultrasound device for screening of osteoporosis

Hiromasa MITSUI, Kazuyuki KIDA, Yasushi KUMAZAWA, Seiko HARATA, Mitsuo TSUGE, Reizo MITA ・・・・・・・・・・・・・・65-71


Characterization of skin-tissue water in the aging process of the mouse, by means of NMR analysis

Masami NISHINA, Kazuhiro MATSUSHITA, Masahiko SUZUKI, Masami SUZUKI, Tomohiko WATANUKI ・・・・・・・・・・・72-77


[原著]

マウスの成長過程における皮膚組織水の変化に対するアルカリ性電解水飲用の影響

仁科正実,冨永信子,松下和弘,鈴木正彦,鈴木政美,文賢徳,綿貫知彦 ・・・・・78-83


対人援助職を目指す学生における「死の教育」の現状と課題

小櫃芳江,坂口早苗, 坂口武洋 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・84-96


踵骨超音波骨評価装置AOS-100による若年者踵骨骨評価値について

岩崎哲也,三田禮造,木田和幸,三井博正,和田簡一郎,原田征行,中路重之,藤哲 ・・・97-109


[体力・栄養・免疫学会大会抄録]

101 女子長距離選手の血清総抗酸化能と血漿中腫瘍壊死因子アルファの6ヶ月間の変動に及ぼす牛乳摂取の影響    110-112

  熊江隆:国立健康・栄養研究所健康増進プログラム


102 ラグビー選手の競技前メディカルチェックデータ解釈に関する考察    113-115

    ―競技マラソン,柔道選手との血液生化学値の比較―  

  菅原典夫:弘前大学医学部医学科社会医学講座


103 非活動肢での血流は増加するが筋酸素化レベルは減少する    116-117

  白石聖:東京医科大学健康増進スポーツ医学講座


104 対象者の自己ペースを用いた運動指導のみが身体・心理的な変化に及ぼす影響 118-119

  李相潤:青森県立保健大学健康科学部理学療法学科


201 心電図・加速度同時記録による歩行のActivity factor (Af)の算出について

  後藤美央:東京家政大学臨床栄養情報研究室


202 地域保健事業における高齢者の運動指導の効果と課題~自験例の評価~    120-122

  小島真二:岡山大学大学院医歯学総合研究科公衆衛生学分野


203 地域在住高齢者を対象とした長期間の自体重を用いた筋力トレーニングが筋機能に及ぼす効果について

  123-124

  上田大:日本体育大学運動処方研究室


204 中国都市部在住高齢者における生活習慣病の関連要因    125-127

  山崎貴裕:早稲田大学大学院人間科学研究科予防医学・健康福祉医療政策教室


301 名栗村における高齢者の生活習慣と血圧との関連      128-129

  三角博彦:早稲田大学大学院人間科学研究科予防医学・健康福祉医療政策教室


302 介護予防事業における健康教育の有用性に関する研究    130-131

  坂野紀子:岡山大学大学院医歯学総合研究科公衆衛生学分野


303 歩行と身代機能の関連―中国天津での調査―        132-134

  信太直己:順天堂大学スポーツ健康科学部環境保健


304 生涯学習活動参加志向性尺度作成の試み(2)       135-137

  宮本真:早稲田大学大学院人間科学研究科予防医学・健康福祉医療政策教室


401 小腸液灌流法を用いた難消化性オリゴ糖(ラフィノース)の小腸内動態についての検討 138-139

  嶋谷泉:弘前大学医学部医学科社会医学講座


402 3ヶ月間の牛乳摂取が血中脂質動態に及ぼす影響      140-142

  海老根直之:大分大学医学部人間環境・社会学講座予防医学分野


403 生体ミネラルに及ぼすサプリメントの影響

  菊地菜摘:大妻女子大学社会情報学部社会情報学科社会環境情報学専攻健康科学研究室


404 食餌構成タンパク質の差異が走トレーニング後におけるラット骨格筋の筋タンパク量に及ぼす影響  143-144

  黄仁官:日本体育大学運動処方研究室


405 運動とオリーブオイル摂取は食後の中性脂肪を低下させる 145-146

  上田千穂子:東京医科大学健康増進スポーツ医学講座


501 私的生活ストレスが労働者に及ぼす影響の検討      147

    ―筑波研究学園都市における調査結果より―

  林美貴子:筑波大学大学院人間総合科学研究科社会環境医学専攻


502 ストレス効果指標等による癒し効果の評価        148-149

  雨宮有子:順天堂大学スポーツ健康科学部環境保健学研究室


503 退職後の意識が労働者に及ぼす影響に関する研究     150

    ―筑波研究学園都市における調査結果より―

  宇佐見和哉:筑波大学大学院人間総合科学研究科社会環境医学専攻


504 室内の作業環境条件が夏季のメンタルワークロードに及ぼす影響  151-152

  田井村明博:長崎大学環境科学部自然環境保全講座


601 マウスの成長過程における皮膚組織水の変化:NMR分光法を用いた研究      153-154

  仁科正実:埼玉医科大学医学部免疫学講座


602 薬物乱用における違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)の歴史的位置づけ  155-156

  栗原佑季子:大妻女子大学社会情報学部社会情報学科社会環境情報学専攻健康科学研究室


603 アレルギー性疾患における代替医療に関するメタアナライシス   157-158

  中村裕之:高知大学医学部医学科環境医学教室


604 がん登録におけるがん症例拾い上げ(casdefinding)の検討     159-161

  松坂方士:弘前大学医学部医学科社会医学講座


特別講演1 タボリック・シンドロームと内臓脂肪           162-164

       坂野誠:日本体育大学大学院体育科学研究科健康科学・スポーツ医科学系


特別講演2 メタリック・シンドロームにおける糖代謝管理―合併症を予防するため―

          小田原雅人:東京医科大学内科学第三講座


701 顆粒リンパ球増多症の3例    165-166

  佐分利能生:大分県立病院血液内科


702 マウス腸上皮細胞間リンパ球(IEL)サブセットの加齢変化とスピルリナ摂取による機能維持について

  167-169

  林修:女子栄養大学栄養学部免疫学部免疫検査学研究室


703 ヒト白血病細胞株に対するフィコシアニン刺激ヒトリンパ球培養上清の分化誘導作用 170-172

  石井恭子:女子栄養大学栄養学部免疫検査学研究室


704 柔道選手における強化合宿による好中球活性酸素種産生能の性差について   173-175

  八重垣誠:弘前大学医学部医学科社会学講座


705 通常練習期の稽古が女子柔道選手の好中球機能に及ぼす影響         176-178

  高橋一平:弘前大学医学部医学科社会医学講座



《巻頭言》薬事法改正の背景とその影響                
神奈川県衛生研究所                         
理化学部薬事毒性グループ 小島 尚


平成18年6月、第164通常国会を薬事法改正案が通過しました。本学会の先生方には薬事法はあまり馴染みのない法律かと思いますが、ここ数年、製造販売に関する改正、更に、今回の改正と大きな変化が続いています。

第1の改正点は医薬品の販売に関する制度上の変更です。それは一部の医薬品ですが薬剤師の配置なしでも販売できるようになります。これは規制緩和の一環と捉えられていますが、医薬品は疾病の予防治療を目的とする物であり、昔から「毒にも薬にもなる」との言い方があるように、多かれ少なかれ、有害作用を有します。今後、使用者は自己責任において自己管理の基に服用することが求められます。

第2はいわゆる脱法ドラッグに対する規制です。脱法ドラッグは麻薬や覚せい剤などのように多幸感や快感を目的とした化学物質や植物です。その多くは海外から持ち込まれたものであり、関連する情報も海外から入手しているようです。これら脱法ドラッグによる健康被害や事件・事故が発生し放置できないことから、東京都は独自条例により取り締まり、厚生労働省も脱法ドラッグに関する検討会を発足させ、まず、脱法ドラッグの違法性を明確にするため違法ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)と呼称を変更しました。しかし、違法ドラッグに関する情報は少なく、麻薬として規制するには国内外の情報収集や科学的検証等が必要であり、最低でも数年かかります。そこで、変化の激しい違法ドラッグに迅速かつ柔軟に対応するため、違法ドラッグを薬事法で規制することにしました。更に、同年11月、厚生労働省は流通する違法ドラッグ33品目を、製造、輸入、販売や広告等を制限できる指定薬物を公表しました。これら一連の違法ドラッグに対する規制が違法ドラッグを排除してくれるものと願っています。今後の調査や検査は我々、都道府県の地方衛生研究所を中心に行うことになると思います。

近年の国際化と規制緩和は医薬品の世界にも大きな変化と思わぬ影響を及ぼしています。そのため、正確な情報を基に判断することがこれまで以上に重要となっています。しかし、インターネットの普及により多種多様な情報が大量に入手できるようになった現在、その中から必要な情報を的確に選択することは難しく、また、情報の正否を判断できる能力が要求されています。本学会には医療、教育関係の先生方が多くいらっしゃいます。先生方との連携と協力により次世代のために安全で健康な社会を創造するよう、医薬品のみならず健康に係わる広範な分野において研究や啓発活動を展開し、本学会が社会医学分野、とりわけ、地域保健活動や健康教育の場において指導的役割を果たすことを期待してやみません。