体力・栄養・免疫学雑誌 第19巻 第2号 2009年 目次

[巻頭言]

体力・栄養・免疫学会と体育人としての役割

鈴川一宏 ・・・46


[ORIGINAL ARTICLE]

The effect of night duty on sleepiness, fatigue, wakefulness, attention, and task performance among hospital doctors

Eriko TOMITA, Shin-ichiro SASAHARA, Shotaro DOKI, Kazuki TANIGUCHI, Mariko TAKAGI, Tetsuhiro MAENO, Ichiyo MATSUZAKI ・・・47-52


[原著]

好中球化学発光を用いた血清オプソニン化活性の測定精度に関する研究

-血清オプソニン化活性への運動の影響に関する最近の研究-

熊江隆 ・・・53-61


葬祭業従事者における死にかかわる学習の現状

坂口早苗,佐藤仁美, 坂口武洋 ・・・62-69


女子大学器械体操選手の安静時及び運動負荷後の身体的・精神的コンディションの特性と変化について

瀬尾京子,梅田孝,具志堅幸二,畠田好章,鈴川一宏,田中充洋, 田辺勝,松本秀彦,小山田和行,三宅良輔,高橋一平,大久保愉一,中路重之 ・・・70-79


[短報]

3ヶ月間のノルディックウォーキング実施が生活習慣病罹患者の身体組成,運動能力,血液性状に及ぼす影響

島﨑あかね,樫村修生 ・・・80-88


[第19回体力・栄養・免疫学会大会抄録]

地方公務員における定年退職直前のストレス対処能力,職業性ストレスと精神的健康度に関する横断調査

○宇佐見和哉,商真哲,大井雄一,羽岡健史,梅田忠敬,林美貴子, 富田絵梨子,友常祐介,吉野聡,笹原信一朗,松崎一葉 ・・・89-90


職域におけるうつ病予防に関する研究

-つくば研究学園都市における5年毎の共分散構造分析結果より-

○笹原信一朗,商真哲,大井雄一,羽岡健史,梅田忠敬,宇佐見和哉, 富田絵梨子,林美貴子,友常祐介,吉野聡,望月昭英,松崎一葉 ・・・91-92


労災二次健康診断における動脈硬化とリスク因子の関連性

○麻生結子,安藤詠美子, 樋園和仁,大渡由美子,宮川勇生 ・・・93


労働者の抑うつ状態に影響を及ぼす社会・労働環境因子の検討

○檀上和真,梅田孝,大久保愉一,北川直子,浜田菜穂子,渡邉清誉, 船橋浩一,大久保礼由,中路重之 ・・・94-96


一般住民におけるうつ状態と生活スタイルの関係

○高橋和幸,梅田孝,檀上和真,松坂方士,高橋一平,中路重之 ・・・97-99


当直業務が医師の眠気や疲労感,注意力に及ぼす影響に関する研究

○富田絵梨子,商真哲,大井雄一,羽岡健史,梅田忠敬,宇佐見和哉, 林美貴子,友常祐介,吉野聡, 笹原信一朗,望月昭英,松崎一葉 ・・・100-102


労働者の精神的健康度に影響を及ぼす要因に関する研究 -民間企業における縦断調査結果より-

○梅田忠敬,商真哲,羽岡健史,大井雄一,林美貴子,宇佐見和哉, 富田絵梨子,友常祐介,吉野聡,笹原信一朗,松崎一葉 ・・・103-104


首尾一貫感覚の集団変化に関する研  -筑波研究学園都市における2001年と2006年の調査より-

○大井雄一,商真哲,羽岡健史,梅田忠敬,宇佐見和哉, 富田絵梨子,林美貴子,友常祐介,吉野聡,笹原信一朗,望月昭英,松崎一葉 ・・・105-106


テレビドラマにおける喫煙関連シーンの検討(10)

○坂口武洋,坂口早苗,長田貴子,近藤陽一 ・・・107-110


特別講演1

心血管疾患の予防における身体活動の役割

勝村俊仁 ・・・111-113


1H-NMR法から見た母乳の状態

○松下和弘,藤原紹生,仁科正実 ・・・114-115


茶葉に含有されるミネラル濃度に及ぼす変動要因に関する研究

○大森佐與子,高橋ユリア,中野幸広 ・・・116-118


卵白アレルギーモデルマウス作成と血漿IgE測定 市販鶏卵を用いた比較

○仁科正実,鈴木正彦,銅山雄太,永山絵理,鰐淵奈津樹,白根信彦 ・・・119-120


ラット好塩基球白血病細胞(RBL-2H3)を用いたSpirulina Platensisの抗アレルギー作用の検討

○高田麗香,石井恭子,林修 ・・・121-123


試合期におけるプロサッカー選手での練習前後の筋組織および好中球機能変化とその関連について

-レギュラーメンバーとサブメンバーの比較-

○山居聖典,梅田孝,須田芳正,鈴川一宏,瀬尾京子,宮澤眞紀,椿原徹也,古賀稔彦,樗木武治,中路重之 ・・・124-126


高校生スキー選手におけるオフシーズンの身体状況と好中球機能の関係

○岩根かほり,梅田孝,田辺勝,上野裕一,小山田和行,黒岩純,竹石洋介,田中充洋,千葉義信,中路重之 ・・・127-128


大学駅伝選手における試合後の筋疲労の蓄積

○長谷部達也,梅田孝,佐藤弘道,鈴木隆,谷本歩実,徳田糸代,徳安秀正,山本博,矢野智彦, 岡村典慶,中路重之 ・・・129-132


大学水泳選手における試合期の食事に関する意識

○松波勝,川崎美智子,山本玲子,田井村明博 ・・・133-134


プロサッカー選手における栄養状態と筋逸脱酵素の関係について

○津谷亮佑,梅田孝,須田芳正,鈴川一宏,野村忠宏,松田基子,松本秀彦,奥村俊樹,宮澤眞紀,中路重之 ・・・135-137


韓国高齢者施設入居者の精神的健康と身体活動

○黒田久美子,町田和彦 ・・・138-141


韓国高齢者福祉施設入居者の感染症リスク因子と予防

○土屋葉子,町田和彦 ・・・142-143


中国天津市老人ホームの実態

○呉晨,町田和彦 ・・・144-148


中高年者における移動能力の低下と変形性膝関節症・肥満の関係

○井上亮,梅田孝,小枝周平,澄川幸志,岩間孝暢,塚本利昭,山本祐司,津田英一,石橋恭之,藤哲,中路重之 ・・・149-151


回盲部原発で手術後,化学療法を行い寛解に至った高齢者悪性リンパ腫の1例

○佐分利能生 ・・・152


特別講演2

トップアスリートの栄養管理 -競技力向上のために特別な食べ物が存在するのか-

亀井明子 ・・・153-155


韓国における施設高齢者と在宅高齢者の食生活の関連

○小名絵里香,信太直己,町田和彦 ・・・156-158


女子大生のアディポサイトカインに及ぼす6ヶ月間の牛乳摂取の影響

○熊江隆,古泉佳代,金子佳代子 ・・・159-161


関東地方の小学生における食への認識の現状 (4)

○坂口早苗,伊藤弘美,坂口武洋 ・・・162-165


保育園児の日中の身体活動量と睡眠との関係

○泉秀生,町田和彦 ・・・166-168


摂食障害者と食教育についての一考察

○高橋ユリア,大森佐與子,津田謹輔 ・・・169-171


農村部に生活する一般成人における睡眠時間と動脈硬化との関係について

○松坂方士,倉内静香,熊谷貴子,工藤淳子,熊坂真梨子, 齋藤百合子,佐藤真樹,梅田孝,兼板佳孝,大井田隆,中路重之  ・・・172-174


一般女性における閉経が動脈硬化に与える影響

○西野加代子,梅田孝,高橋一平,檀上和真,松坂方士,中路重之 ・・・175-177


動脈硬化症患者の進行度による栄養充足率及び血清中微量金属元素濃度の違い

○信太直己,池田啓一,雨宮有子,河合祥雄,山倉文幸,加納達二,中島滋,高田和子,町田和彦,岩井秀明 ・・・178-181


研修医のストレス対処能力と職業性ストレスの関連

○羽岡健史,商真哲,大井雄一,梅田忠敬,宇佐見和哉,林美貴子,富田絵梨子,友常佑介,吉野聡,笹原信一朗,望月昭英,松崎一葉 ・・・182-183


農村部に生活する一般住民における健康関連QOLと生活習慣との関係について

○工藤久,松坂方士,檀上和真,高橋一平,梅田孝,中路重之 ・・・184-187


一般住民における過敏性腸症候群と食事の関係

○久米田桂子,梅田孝,檀上和真,松坂方士,高橋一平,中路重之 ・・・188-190


一般男性における肥満が好中球機能に与える影響

○高橋一平,梅田孝,三宅良輔,大西基喜,工藤うみ,伊藤治幸,赤池あらた,柏尚裕,中路重之 ・・・191-194


一般成人における飲酒および喫煙が好中球機能に与える影響

○佐藤淳也,梅田孝,高橋一平,松坂方士,檀上和真,中路重之 ・・・195-200


一般成人における睡眠時間と肥満との関係について

○西村美八,松坂方士,高橋一平,檀上和真,梅田孝,兼板佳孝,大井田隆,中路重之 ・・・201-203


Polar RS800を用いた24時間心拍変動解析の試み

○小山内弘和,伊藤孝 ・・・204-205


Dipropyl基を有するトリプタミン系化合物の依存性について

○宮澤眞紀,小島尚,中路重之 ・・・206-207


同程度の運動習慣を持つ集団におけるVO2peakと最大脂質酸化量および最大脂質酸化量を示す運動強度の関連

○高木俊,小西真幸,山田優香,殖田友子,緑川泰史,坂本静男,勝村俊仁 ・・・208


[記事]

「倉掛重精先生を偲ぶ会」ご報告

中路重之 ・・・209



《巻頭言》体力・栄養・免疫学会と体育人としての役割

日本体育大学 衛生学・公衆衛生学研究室

鈴川一宏


 私は第3回体力・栄養免疫学研究会が大分県湯布院町で開催された平成5年に本学会の会員となりました。そのきっかけは、当時、国立公衆衛生院にご勤務されていた熊江隆先生からの紹介によるものでした。私と熊江隆先生との出会いは、私が日本体育大学大学院修士課程1年の時(平成4年度)でした。私は、高校生の頃から「スポーツをすると風邪をひかないというのは本当かな?」という素朴な疑問があり、修士論文では運動と免疫に関連したテーマにしたいと指導教員である伊藤孝教授(日本体育大学)に相談しました。数日後、伊藤先生から「鈴川の話を弘前大学の菅原和夫教授に相談したところ、菅原先生からわざわざ遠くまで来なくていいから東京にいる熊江先生のところで勉強してみなさい、というお返事を頂いた。」と伝えられ、平成5年3月の日本衛生学会学術総会で初めて熊江隆先生にお会いさせて頂いたと記憶しています。このような経緯から、私が大学院2年生の平成5年4月から熊江先生の下でラットの解剖、好中球や肺胞マクロファージの活性酸素種産生能の測定手技や血清生化学検査についての「いろは」をご教授して頂くようになりました。そして、本学会の大会に参加したり、弘前大学にお伺いさせていただく機会ができるようになりました。ちなみに、私が日本体育大学の大学院生の時に研究室の助手をされていたのが梅田孝先生で当時から公私にわたって大変お世話になりました。今思うと、私の周りには常に弘前大学にゆかりのある先生方がおられたことに不思議な縁を感じます。

 さて、私が勤務している日本体育大学は、「體育富強之基」を建学の精神とし、体育・スポーツの普及・発展を積極的に推進してきました。さらに教育現場においても今まで多くの中学校・高等学校の保健体育教諭を輩出し、子どもの成長・発達について貢献してきました。しかし、近年、子どもの体力低下が問題とされており、教育現場における体育の役割は非常に重要であると考えられ、新学習指導要領についても体育の時間が増加されました。文部科学省や多くの研究者が指摘する体力の低下は文部省(現:文部科学省)が行ってきた体力・運動能力調査、いわゆるスポーツテストで測定される行動体力から論じられることが多く、人の生命や健康に関わる防衛体力についての報告が少ないのが現状です。しかし、学校現場の先生からは朝から体調がすぐれず保健室に通う子どもや、体温が低い、じっとしていられないなど、昔には見られなかった子どもの身体のおかしさが聞こえてきます。そこで、体育教諭を輩出する本学の使命としても行動体力だけでなく防衛体力についても体育・スポーツの必要性について詳細な検討をすることが必要と考えられます。本学会は「体力・栄養・免疫」の名の通り、まさに行動体力そして防衛体力に密接に関わる学会です。体育人である私も会員の一人として、現在の我が国における子どもたちの問題について体育・スポーツの必要性を健康の面から訴えていきたいと考えております。